でもこれくらいで始めてもいいかもしれないパースの話

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冬頃から「背景描いてみたいんだけどパースがよくわからない」といった話を聞く機会がチラホラあって、こういう時に簡単な図説があるといいかなぁと思って描いたらしいものが出てきたんですけど、我ながらもう少し説明する気があれよ!何もわからんだろコレ!ってなりました。
好き好んで風景画描いてる人がまわりにあんまいないせいか時々この手の相談は受けるんですけど「いやパースはあんま考えなくていいよ!」とか「慣れですよ!」みたいな身も蓋もない話をしてしまいがちで。
この手の話は結局数をこなさないと身につかないってとこはあると思うんですけど、でも「ちょっと形にしてみたい」から始めたい人に対していきなり谷に突き落とすような話をするのも、なんかそれはそれでどうなのかなぁという。
最近自分でももうちょっと説明できた方がいいんじゃと思うことが増えてきた事もあったりで、背景を描くことに興味はあるんだけど透視図法が何なのかわからないって人向けにパースの話をかじる程度に追記です。
こういう記事を作っとくと、また今度なんかそういう話になった時にこの記事のリンク出せば便利かなぁって。

 

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マジで取っ掛かり程度だと思ってください。
鵜呑みにしちゃダメだ!

 

 

知識として正しいのかどうかって部分は正直かなり怪しいと思ってるので、基本的にアテにならないって所は念を押させてほしいのですが。
あくまでそれっぽく描くためにこういう事が頭に入ってるとどことなくそれっぽく描けるような気がする。という話です。

 

 

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で、これは説明する気がないなぁって自分でも思うわけなんですけど、アイレベルを基準に絵を組む時の考え方の1つとしておおよそこんな感じだろうと思ってもらうと話がしやすいので、あくまでこの人の場合はこんな感じで描いてるってことでひとつお願いします。
経験上パース云々の話になるとまずこのアイレベルっていう概念が伝わらなくてそこで詰む事が多いんですけど、絵を見てる人の目線の高さが大体このアイレベルという線だと思ってもらえれば。
頭を動かさずその場で視線だけ上にあげるとアオリ、下を見ると大体フカン、真正面を見れば真横 という風に大体は見えると思うんですけど、その風景を見てる人の位置がどこにあるかっていう設定がこのアイレベルっていう線です。
なのでこの線(EL)が高いところにあると高い場所から見下ろす形なのでフカン構図の絵、下の方にあると低い場所から見上げる形なのでアオリ構図、真ん中だと大体水平に見える絵になります。
ちなみに絵を描く時にこのELの場所を紙の外(画面外)に設定する事って私はそう珍しくないと思ってる方なんですけど、そういう時は更にめっちゃ高い所にいるか、もしくはめっちゃ低い場所から見てるかのどちらかです。
街の写真を撮るときに学校の屋上からとるのか、それとも飛行機に乗って上空からとるのかみたいな話なので、つまりどこからどういう写真撮りたいかって思ってもらうと・・・いい、のかなぁ。
まあ大体の技法書ではそういう感じのものとして説明されてる気がするし、基本的にはカメラ構える位置だと思ってもらうとわかりやすいかと。写真を撮る位置がELでいわゆるパース線っていう奥に向かう斜めの線は基本的にはここに集まります。ふわっと。
ELの線から離れるほどにものに角度がついてくる感じでしょうか。

 

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そういう話を踏まえてなんかこう、この手の話でよく見かける図。
サイコロの面の見え方で説明するとわかりやすいのではと言われてナルホドとなったので試しに描いてみたんですけど、説明のための絵を描くって難しい。
1つの面しか見えないのが1点透視、2つの面が見えてくるのが2点透視、更に底や上の面が見えるのが3点透視です。
描く難易度だけの話をすれば1点透視で描くのが1番難しいと私は思ってる方なんですが、単純に見える面=描く面が少ないので作業量でいえばたしかにラクなんですけどサイコロの2の面・3の面の部分をわかった上で除外して描く必要があるので、やっぱり1点透視の絵を描くのは難易度高いんじゃないかなぁと思うんですよね。

 

そんで実際に背景を描いてみようっていう段階になって「まず何点透視を使えばいいのか」という話になりがちなんですけど、自分は透視図法に関しては奥行きを演出する手段の1つだと思っている方なので「いや、それは後でいいんですよ」と言ってしまうんですね。
でもそこで会話を切っちゃうのよくないよなーって事でこんな記事を書いてるわけなんですけど。
まずはどういう位置からサイコロを見て、どういう角度のサイコロが描きたいのか って事を考える手段の1つとして透視図法っていう概念が頭にあるとちょっと便利だよくらいの感覚で付き合えばいいと思うんですよね。個人的には。
パースの話をしてややこしくなるのって「どういうアングルで絵を描きたいのか」っていう前段階をすっ飛ばしがちだからだと思うんですけど。
いやたしかにパースも大事なんですけど、何点透視ありきで絵を描こうとすると明確な狙いがない限りは大体うまくいかないです。
むかーし、私は絵を描くときに「この絵は3点透視で描こう」みたいな所から絵を描き始めてパースガイドを全体にびゃーって先に引いておいたその上から描いてた時期っていうのがあったんですけど、でもそれだと描ける面というのが最大で3方向しかなくて、基礎的なものもなかったしでそのうち限界がきちゃったんですよね。
勿論構図を考える方法の1つとしてまず何点で描こうって所から考えるっていうのはそれなりに有効なんですけど、それは画面全体をデザイン的にまとめる技量とかセンスが相当問われるんじゃないかなという気がします。
私はそういう事に頭を使うのに向いてなくて、やりたい事ともあんまり合致しない感じだったので今はあまりやらないです。
まあでも目的と手段が入れ替わってくると大体いい事ないですよね。

 

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ちなみに消失点(斜めの線が集まる点)の距離が近い、もしくは画面の中に消失点を設定すると大体パースのかかり方としては強くなります

 

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消失点が画面の外にあるとこういう感じ。
普段見てる景色はこっちですね。

 

これは失敗談の1つとして聞きいてほしいのですが、描き慣れない頃に消失点の数が少ない方が簡単そうって思ってた時期が自分にはあったんんですけど、あれはそもそも紙の外にある点に向かって線を引くのが大変だよなーと思っていた部分が私はかなりありまして。
それで2点透視で描くときも画面内(紙の中)に無理やり消失点を設定したりしてて、最初は漫画っぽい効果が出てくるのが面白くてそんな描き方をしてたんですけど、人間の目だとまずそうは見えない見え方でわからないものを無理くり描いてたもんだから段々と絵の中の辻褄をあわせられなくなってきちゃってですね。
演出効果として特に狙いがない場合は消失点は遠くに設定した方が無難じゃないかなぁと思います。マジで。
PCを使うなら画面の外に消失点を設定してもガイド取るのそんな難しくないですしね。
紙に描くときもELの線をとりあえずは引いておいて、なんとなくここに斜めの線が向かっていく感じで・・・くらいのふわっと感です。

 

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まあでも何にしろパースに関しては絵的にどっち描きたいかって話なんですよね。
緊迫感を出したいのであればアイレベルの位置をちょっと極端にして消失点も近めにしてみたり。
日常感とか穏やかな雰囲気を描きたいのであれば、そういうのはゆるい設定にした方がそれっぽくなりますし。
以前漫画を描いていた友人が漫画のネームを切る際にパースきつくしてアングル変えまくると読む方が疲れるのであんまよくないって話をしてくれたんですけど、イラストでもそういう事考えるのは大事だよなーと思う事が自分は増えてきました。

 

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あわせて何点透視っていう頭でやってるとすぐ限界がくるっていう話もちょっと

 

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普段見てる風景って大体の場合は透視図法的には1点2点、場合によっては3点が混在してる方が自然で。
消失点の数を最初から決めてかかっちゃうとそれはそれで散らかった部屋が描けないとか、曲がり角が描けないとか、いろいろ。
まあその角度の変わるたびに消失点をとって描けばいいんですけど、ぶっちゃけ面倒くささの方が自分は上回って飽きちゃうので、とりあえずカメラの位置だけ決めてあとはこう、臨機応変というわやわや感で。
自分が時々パース定規使いにくいっていうのは主にこういう所の微調整のしにくさからくる感覚です。マメさがね。ないんですよマジで・・・。
あと本当に画面酔いを起こす。人の絵を見てて角度がきつくて酔うってないんですけど、なんか自分で描くとなると途端に酔うんですよね。あんま聞かないけどあれは何なんだろうなぁ。
3Dも3D酔いしやすい人はまず作ってる画面で酔うって聞いた事あるんですけど、感覚としてはそれに近いのかな・・・。

 

 

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とりあえず描きたいものを出して、そこからおおよその斜めの線を拾って繋いで消失点を割り出して「大体こんな感じ」で描いちゃった方が頭の負荷が少ないので、慣れないうちはこっちでやるのをお勧めします。
透視図法はあくまで手段の1つです。
手前の線を太くするとか、ディティールを省略するとか、奥行きを表現する方法は透視図法以外にも色々ありますからね。
どんどん説明が雑になっていく。
まあでもあれなんですよ。別にパースガイドの線が適当かつそこから外れた線を描いても困る事ってそんなにないですし。ぶっちゃけ。
むしろそこの整合性をとろうとすればするほど好みのアングルにならなくて描いててもやもやする事って私はかなり多くて。最終的には好みの問題だよなぁみたいな所はあると思うんですよね。

 

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番外・風景ってどうやって塗ればいいのさ編。
私はこれも時々聞かれるんですけど、とりあえず線画ありきのタイプであればこの方法はそれなりに有効かなぁと思います。
とりあえずは空の色準拠にして、影は彩度低い方が失敗が少ない。
慣れてくると自然と選択肢が増えてくるので、何だかんだで最終的には数と慣れです。という身も蓋もない話になるんですけど、認識的にはこれくらいフワッフワでもなんとかなるので大丈夫こわくない!

 

重ねていいますが鵜呑みにしちゃダメです。